HOME


森 戸 川 散 策



乳頭山から東京湾の眺め


本文で紹介している散策コースは、2004/10 月の台風によって荒れてしまったヶ所があります。
被害状況は、尾根筋は南・北・源頭部ともに倒木はチェンソーで切断除去されていて問題ありません。林道終点から奥の沢筋も大きな被害はありませんでした。
大山林道は通行止めですが、実際はかなり歩かれているようで、崩壊箇所もさして難儀せずに抜けられるトレースが着いております。
但し、風倒木はそのままの状態で、かろうじて他の木の枝に引っ掛かっているものや、山腹法面上に根が浮き今にも転倒しそうな木など、放置されたままです。崩壊斜面の浮石も処理されていません。
雨上がりや風の強い日は依然として危険な状態が続いています。
またこの被害の影響で、この流域を歩く人が大分減ったようで、各コースともにますます原始的な趣が強くなってきています。マニアには好ましい状況でしょうが、一般ハイカーには本文よりさらに厳しいコースとなりつつあることをご承知おき下さい。 2005/1/15 追記

2010年5月現在、大山林道の始点ヶ所に鉄パイプ柵が設置され、立ち入り禁止とされていますが、脇からすり抜けるとさして問題なく歩ける状況です。 大きな崩落ヶ所は一ヶ所だけで、そこにも立ち入り禁止柵が設置されていますが、難なく通過できます。
また、上記倒木は除去されていて歩き易い状況に変わっています。南尾根・北尾根はともによく歩かれています。やや嶮しい中尾根は経験者向きです。沢筋では南ノ沢に比較的明瞭な道筋があります。
 2010/05/10 追記



 三浦半島の中央部に広がる脊梁山地を水源に、葉山の森戸海岸へ注ぐ森戸川は流程わずかに6kmほどの小河川ながら、この辺ではめずらしいオイカワなどの魚影が走る清流である。
この流域に豊富に残された自然の森がこの清流を創りだしている。ここはトンボや蛍などの水辺の昆虫・リス、狸、ウサギなどの小動物・そして野鳥など様々な生物にとって、命を育む大切な場所となっている。ここを訪れた人は、身近に感じることができる緑に包まれたこの小さなセセラギに、親しみと安らぎ、そして懐かしさを覚えるに違いない。
中流域から上流はアカガシ、コナラ、エノキなど自然雑木林に覆われ、標高100〜200mの丘陵に囲まれた深い渓谷を形成している。大都会近郊にありながら、まさに深山幽谷の佇まいである。
ただ残念なことは、湘南国際村へ通じる建設中の県道が、丘陵地を隧道で、この渓流は高架橋で横断する為に、著しく景観と環境を損なうことである。そもそも神奈川のシリコンバレーを目指した湘南国際村は計画通り利用されているのであろうか。多額の税金を投じ、自然を破壊しただけではなかったか。
 さて、長柄大山集落より流れに沿って、嘗て林業に使用され、現在はハイカーにも利用されている歩きやすい林道が通じ、ゆっくり歩いても60分程で源流域に達する。けっして長い道のりではないが、ここを歩くと下界の騒音から断ち切られた山奥深い渓流を訪れているかのような静寂さを覚える。
聞こえるのはセセラギと鳥のさえずり。あの蝉シグレさえ耳に優しい。成長した杉の植林帯が天然雑木林と調和よく共存していて陽射しを遮っている。そして、この辺り一帯はシダ類が多く、大きく成長して地表面を覆っている。これらの森林・シダ、そして渓流のセセラギが相まって、ここを歩く者に真夏の空気さえ涼しく感じさせる。
熟達者は、林道終点から二股に分かれた南沢、あるいは中ノ沢をさらに遡行すると、秘境探検の気分さえ味わえる。
 またこの流域は野鳥の種類が多いことで知られ、カワセミ・オオルリ・サンコウチョウなどの生息が確認されていて、野鳥愛好者にとってはまさにかけがいのない場所となっている。
ハイキングコースとしては地元の人及びバードウォチャーにはよく歩かれているものの、丹沢・奥多摩のように近郊各地から数多くのハイカーが訪れることはなく、ガイドブックに紹介されることもないので、世間から取り残されたような小さな穴場となっていて、静かで落ち着いた散策が楽しめる。
すぐお隣の鎌倉天園コースや三浦大楠山コースの賑わいが不思議にさえ思える。
 コースは、二子山(208m)を主峰とし、横横道路トンネル上部の分岐あたりまでを北尾根・仙元山を始点に、高圧線下あたりまでを南尾根・乳頭山(211m)を主峰とし、南北に横須賀市と接する源頭部尾根そして渓流沿いの大山林道の主たる4ルートがあり、 それらを繋ぐ枝道との組み合わせによって、渓流歩きと展望両方楽しむ満喫コース・家族向き手頃なコース・半島を横断する健脚コースなどパーティの目的能力に応じて2〜3時間からたっぷり1日コースまで自由自在に計画することができる。
但し、この流域を自在に歩くには、1/25,000地形図上に表示されないルートが多く、標識も不十分なうえ、不正確なものも見うけられるので、地形図と磁石が必携であり、読図力が要求される。最も、たとえ道を間違えたとて、尾根道であればめったに遭難するはずもなく、 回り道するなり、戻るなり予定を変えるなり、あるいは出直せばそれでよい。近郊里山の手軽さがここにはある。



各ルートの状況

1、大山林道の状況 

大山の集落を川沿いに少し登ると車止めゲートがあり、そこから先は歩行者専用の林道となる。良く整備された勾配の緩やかな歩きやすい道で、野鳥、水辺の小生物、植物などを観察しながら、のんびり散策するのに適しており、本流域のメインルートである。
林道終点は森戸川の源流点で、南沢・中ノ沢・北沢の合流点となっている。ベンチが数脚設置され休憩に適した場所。
そこから中ノ沢へ降り、さらに左の北沢伝いに数回渡渉し、北側の小沢沿いに二子山側の尾根道(北尾根)に登ることができる。また右の枝道連絡尾根を急登すると南尾根道と合流することができる。
南沢と中ノ沢に挟まれた尾根を中尾根といい、踏み跡はやや薄くやせ尾根なので経験者向きではあるが、源頭部尾根に達する近道である。
南沢あるいは中ノ沢を遡行し、中間点から南中峠(六把峠ともいい中尾根上の交差点)へ抜けるルートもあるが、あまり歩かれていないので、藪が深い。
さらに沢を源頭部まで遡行するルートは熟達者向き、特に南沢から尾根道へのツメが急登で藪が深い。足ごしらえは登山靴またはゴム長靴でないと無理。
2、南尾根道の状況
このルートは、葉山隧道上部にある相模湾の展望がよい仙元山公園から、横須賀市との境界に位置し東京湾を眺める乳頭山までの、森戸川流域の中では最長の林間尾根道である。踏み跡はしっかりとつけられていて、勾配の急な箇所には簡易階段も設置されていて、特に危険を感じるような場所はないが、コース途中には地図に表示のない数多くの分岐があり、道標案内板がほとんど整備されていないので迷いやすい。地形図と磁石で方位確認のできる読図力が要求される。
また分岐付近の立木を注意深く観察すると、マジックやナイフなどで小さく行き先表示が書かれていたりするので大いに参考にするとよい。
標高は乳頭山の211mが最高点だが、多くのピークを乗越して行くのでアップダウンが多く、累積標高差は相当なものとなる。ハイキングと言うよりは登山の縦走をイメージした方が良い。歩行時間は双方向ともに2時間は見たい。
尚、途中分岐からは森戸川に降りる枝道、葉山小バス停に下る枝道(実はこちらがメインコース)、上山口小へ下る枝道がある。上山口小へ抜ける山側枝道に東電鉄塔が立つピークがあり、乳頭山より高いのでこの辺りの最高点と思われるが、展望は全く得られない。
3、北尾根道の状況
このルートはJR東逗子を起点として逗葉新道トンネルの上部を抜け、展望の良い二子山上ノ山に至るもので、交通の便が良く、山頂直下にある南郷上ノ山公園とを合わせて散策すると、家族向き手頃なコースとなる。但し下ノ山から安部倉山方向へ下るルートは藪が深く急である。
この右岸と1の渓流沿いルートを組み合わせたものは、ゆっくりと自然を満喫できる本流域の推薦コースであり、人気が高い。歩行時間は3時間程度。また次の4ルートへ合流するには、東逗子より40分ほどの二子山・田浦分岐を左折し、馬頭観音を経て合流する。この馬頭観音から中ノ沢に下る枝道があり、地元ではこの道を六把坂・下った辺りの沢をリスの谷と呼んでいる。
4、源頭部尾根(東尾根)の状況
この山域には南北に2系統の高圧電線が架設されており、各ピークには鉄塔が立ち、遠方より眺望できる。ルートは乳頭山から高圧線の下を縫うように通じていて、所々で東京湾を眺望できる。
乳頭山山頂のすぐ北に田浦梅林及び南に畠山方面への分岐があり、これらと森戸川流域ルートを組み合わせることにより、三浦半島を横断する上級者向けコース取りができる。
また、横横道路がトンネルで貫通している上部を田浦側へ跨ぎ、尾根伝いに沼間へ下り、さらに鷹取山へ行くことも可能である。(相当な迷路)
この辺りの尾根道(田浦大作町側)はハイキングコースとして整備されたものでなく、東電の鉄塔巡視用の道を流用している部分が多いので、相当にわかりにくい。慣れない人は枝道に入り込まない方が良い。
さらに2の南尾根と3の北尾根を組み合わせると、森戸川流域尾根をぐるりと一周することができ、体力的にもルートファインディング的にもかなり上級なコースとなる。



次に代表的な2コースを紹介しておく

1、二子山と大山林道コース
横須賀線東逗子駅〜(70分)二子山〜(30分)森戸川林道〜(80)分長柄バス停=逗子駅
改札を出て道路を2本渡ってすぐの沼間小学校を左回りした、グランド裏手がハイキングコース入り口で、案内板がある。住宅地脇を抜けすぐに山道となる。逗葉新道のトンネル上部を気付かないうちに過ぎ、滑りやすい山道を田浦方面分岐・森戸川分岐と通過し、車道と合流する。
そのまま登れば右にKDDアンテナ、さらに左に小さな展望台がある二子山(上ノ山)山頂207mで東京湾側の眺望は良いが、残念なことに江ノ島・富士山方向の展望が得られない。
少し戻り、分岐にある標識に従い森戸川源流に降りる。沢伝いに下ると左より中ノ沢、次いで南沢が合流し、その沢を渡渉すると林道の終点に出る。この間快適な沢歩きだが天候により足元が悪いこともある。
林道を森林浴さながらにのんびり下り、逗葉新道を渡り御霊神社を右に見て、一般道を長柄バス停まで歩く。全歩行時間は3時間ほど。余裕があれば長柄から直進し隧道を抜けて渚の交差点へ出、田越川を渡って海岸を散策し、砂浜の中央部から逗子駅へ出るのも悪くない。
長柄から駅まで1時間足らずである。尚、海岸を除き途中にトイレはない。

2、三浦半島横断コース 
逗子駅=風早橋バス停〜木ノ下信号〜(30分)仙元山〜167m峰〜176m峰〜159m峰〜(130分)鉄塔〜(20分)乳頭山〜分岐〜(30分)田浦梅林〜(30分)横須賀線田浦駅
横須賀線逗子駅バス乗り場2番で、長井方面行に乗車し10分ほどの風早橋停留所で下車する。行き先多方面のバスが利用でき、本数は多い。進行方向トンネル手前の信号を右折し最初の信号(木ノ下)を戻るように左折する。
トンネル脇にある'葉山ボンジュール'は相模鉄道系のパン屋で、朝から営業しているので間食用に購入できる。
急坂を上りきると教会があり、その左横がハイキングコース入り口である。山道に入り10分で仙元山(センゲンサン)に着く。
相模湾側の展望が良い場所で、森戸の岩礁を眼下に、桜の梢の間からは釣り船が浮かぶ相模湾とその奥に伊豆半島が長く伸び、右に富士山が以外に近く浮かぶようにそびえ、まるで絵のように素晴らしい。
先は長いので、ここは小休止がてら身支度を整えるのにちょうどいい場所だ。トイレもある。
ここから下って登り返し、葉山中学を右手に見て、189m峰は右を捲く。ここを左に進むと大山集落へ降りてしまう。グリーンセンターの先の分岐は左の踏み跡の薄い枝道状の方へ進む。天然雑木林の細い尾根道を延々とアップダウンを繰り返し進む。野の花が多い。所々で左に二子山、右に湘南国際村が望める。
開けた鉄塔を通過し上山口、畠山への分岐を過ぎ、左に登り返すと三角点のある乳頭山211mに着く。
この山は田浦方面から眺めると双耳峰で、この山の呼び名について納得しよう。ちょうど昼食休憩場所に良い。眼下に横横道路、その先に東京湾を見下ろす。野島、八景島は指呼にある。船の往来を見ているだけで時間が過ぎてしまう。
山頂を過ぎ、下ったわずか先の分岐を田浦方面に右折する。沼間方面分岐を右折し、ロープが張られた急坂を下り、横横道路を跨ぐ細い人道橋を渡ると田浦梅林に着く。この人道橋は横横道路によって分断された田浦緑地とこの森戸川源流域とを結ぶ唯一の架け橋である。
田浦梅林は展望台がある広々とした場所。四季折々の花が咲いている。トイレもあり、最後の休憩にうってつけの場所だ。
ここからJR田浦駅までブラブラと下り、30分ほどで着く。全歩行時間は4時間。京急線を利用する場合は途中から分け、25分ほど歩き、安針塚駅へ。
本コースの他、乳頭山手前から、畠山・十三峠を経て塚山公園に至るルートで半島を横断するのも面白いが、迷いやすく、歩程も延びる。また踏み跡も薄い。



 当所ハイキング適季は観梅の頃、桜の咲く頃、新緑の頃、梅雨の晴れ間、夏の朝、秋空の澄んだ日、穏やかに晴れた冬の日等々。林道の往復なら小雨の日も悪くない。近場の丘陵地だけに、四季を通して思い立った日に手軽に楽しむことができよう。
尚、手軽にとはいえ、足ごしらえは登山に準じた仕度をしたい。
 
 お土産は逗子駅前の鮮魚店[魚佐治]で。近海の魚介類が驚くほど豊富で安い。見るだけでも楽しい。

  2003/5 記

no2. 転落(日蔭沢〜大室山)へ , no.1 森戸川散策