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梅の香りに誘われて 曽我丘陵ハイキング 2012.03.22




曽我丘陵は小田原市の東端に位置し南北に連なる標高200〜300mの丘陵で、最高点は不動山の328m。
麓はウメの産地として知られ、御殿場線に沿って中規模の梅林が数多く点在している。
今年の冬は寒い日が長く続き、ウメの開花は2〜3週間ほど遅れ、例年なら終盤のウメはまだ見頃だった。
丘陵の稜線には舗装された農道が通じていて、富士山・箱根、丹沢のやまなみ、そして相模湾を眺めながらミカン畑の中をユルーいハイキング。 下山は梅林を見下ろしながら曽我兄弟ゆかりの寺【城前寺】に立ち寄って下曽我駅へ。


コース;国府津駅〜菅原神社〜五国峠(西山農道)〜高山下〜一本松〜六本松跡〜城前寺〜下曽我駅
所要時間;三時間半

小田原市のホームページ【小田原市のウォーキングコース=国府津・曽我丘陵コース】を印刷して出かけました。同じ区域には他に曽我の里散策コースがあります。



国府津駅の改札は海側にだけある。車の往来が激しい国道1号線だが、旧街道筋の面影がそこかしこに残っている。小田原方向に少し下って右折し、東海道線、続いて御殿場線のガードを潜り抜けて山側に出た。
出発点は菅原神社である。境内には石碑が多く、楽しい仕掛けも随所にある。体の悪い所を直す撫で牛・狛犬ならぬ駒牛・古い筆を納める筆収め所・くぐるとご利益がある茅の輪・小さなお稲荷さんなどなど。 大きなムクのご神木も境内に聳え、立ち寄ってみたい場所である。
また、わらべ唄【とおりゃんせ とおりゃんせ ここはどこの細道じや 天神さまの細道じゃ】の舞台となった場所とのことだが(他所との説もある)、周囲には怖そうな細道は見当たらなかった。

菅原神社から線路沿いに少し上がり光明寺入口を左折する。この辺は寺が多い。六本松跡を示す小さな道標があって、行く先々でこの道標が道先を案内してくれた。 市街地から離れ、ミカン畑の中の狭い農道を緩やかに登っていく。 じきに富士・箱根の山々がミカン林の切れ目から姿を表す。御殿場線の電車越しに眺める富士は懐かしい気がした。農作業中の人と時折挨拶をかわす。ミカンの収穫は終わっていたのだが、手入れが一年中欠かせないようだ。 農作業は大変なのだろうが、こちらはのどかな気分である。稜線に上がると富士箱根・丹沢・相模湾・小田原市街から真鶴への海岸線などなど前後左右に入れ替わり立ち替わりに景色がゆっくり動いてゆく。

一段と広い道に出た。西山農道で、その建設に尽力した人々の名が刻まれた記念碑が建立されている。歩き始めて1時間、西側が開けてベンチが置かれているので小休止したくなる場所である。 一段下に仮設のトイレも設置されていた。
続いて五国峠の石碑がある。伊豆、相模、甲斐、武蔵、安房の五国が眺められたと云う。地形上、甲斐、武蔵は果たして?
新幹線・小田原厚木道路が貫く弁天山トンネルの上を知らぬうちに通過し後方に新幹線が走り去るのを見た。達磨の墨絵画家、風外上人が生活していたと云う横穴古墓群がある風外窟には立ち寄らずに、本コース最高点高山246mへ向う。 急坂を登り、ピークは左を巻く。このピークには送電線鉄塔があり、展望も遮られているようで立ち寄る気がしなかった。

道は稜線を緩やかに下っていく。ミカン・ウメ・キウイ畑の丘陵が広がり、所々で煙がたなびいている。のどかな春景色である。
一本松跡には若い松が1本植えられていた。数十年後には1本松を襲名するのだろうか。別所梅林への分岐点でもある。
一本松跡から六本松跡までは6〜7分の距離。各案内標識は六本松跡を指し、ハイキングコースの中心になっているので、それなりの広場と休憩施設があることを期待して、昼食場所として予定していたのだが。
其処は峠状で交通の要所には違いないが、休憩場所としては不適当だった。歩き始めて2時間余り既に昼時である。仕方なく道路脇の低い石積み天端に腰かけて昼食とした。

六本松跡から下曽我駅へ直接下ると40〜50分ほどだがやや物足りない。不動山方面へ少し登ってみることにした。
女性が三人道路下の法面に腰を掛け、望遠鏡と大きな双眼鏡で盛んに見上げている。
「何か珍しい鳥が見えますか」と私は声をかた。
「渡りをする珍しいタカの仲間が来るんですよ、その調査をしています」リーダーらしき人が応えた。
「サシバですか?」私はピーンときた。以前に矢倉岳でサシバのオッカケ集団に出会ったことがあるのだ。その折に空高く飛ぶサシバを目認している。
だが、一同沈黙してしまった。どうやら的外れだったようだ? 
「ウワァー、サシバをご存じですか! サシバを知っている人と初めて会いました!!」少し間をおき、一段と大声でリーダーが反応した。
あまりの感激ぶりにこちらがビックリしてしまい、 矢倉岳でのいきさつを話すと、秋にインドシナ方面へ南下するサシバは矢倉岳に集結し上昇気流に乗って旅たち、春先の今頃に日本に戻ってくるとのこと。 戻りサシバは群れずにバラバラに帰還するので長時間かけて個体数の調査をしているのだ。今日も既に数羽確認したとのことだった。
「調査は他所でも行っているのでハイキングなどで見かけたら声を掛けてください。大喜びするから」と云うので、こちらも嬉しくなってしまった。
さらに尾根道を上がり電波中継塔の脇から下り道に入った。ピンクの枝垂れウメが見事に咲いている。
眼下には梅林が点々と春霞のように白く浮かび、遥か上空には二羽のサシバが悠々と東に向けて飛翔していった。



2012.04.03 掲載

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