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平 標 山(タイラッピョウヤマ) 1983m 2015/6/29


山頂は稜線右上


平標山は谷川連峰の西端に位置し、谷川山塊の中では隣の仙ノ倉山に次いで第二位の高峰である。上越国境の山だが山頂所在地は新潟県。
急峻な地形の谷川連峰にあっては例外的に穏やかな山容で、展望に恵まれ、稜線はお花畑、アクセスも良く、仙ノ倉山と一体化して人気が高い。
私は初めての山で、上越新幹線で越後湯沢へ、そこから登山口までバスで約40分。この日は透き通るような青空、梅雨の真っただ中とは思えない絶好の登山日和だった。
多くのハイカーは仙ノ倉山へと足を伸ばし、私もその予定だったが平標山でいっぱいいっぱい、仙ノ倉山は断念した。
とは云え平標山周回だけでもけっして安易なコースではなく、とてもいい山で満足した。

コース&タイム;
登山口9:00〜10:00鉄塔10:05〜10:50松手山11:05〜12:05一の肩先の平坦地12:15〜12:40平標山山頂
山頂13:00〜13:30平標山の家13:40〜14:30林道14:40〜15:30登山口バス停
所要時間;6時間半、歩行時間;5時間20分、高低差1000m



東京7時ちょうど発の【とき303】に乗車。自由席は空席が目立つ。私は二人掛け席を独占しカンビールを開けた。酒にだらしない性分は生涯治らない。
高崎は通過し大宮の次が越後湯沢駅、8時10分着。約200kmを1時間10分で疾走する。【とき303】は上越新幹線のなかでも快速列車である。
湯沢の町は妙な風景、ローカル色漂う駅前の景色と山裾に点在する超高層マンションのアンバランス。駅の裏側からゴンドラが延びるのも珍しい。
駅中では土産物店が充実し、そこは新潟魚沼の地、たくさんの米と柿の種が陳列されていた。
苗場プリンス行き南越後観光バスは冬場が稼ぎ時のスキーバスで、夏場は本数が減らされ、それでも1日に10本ほどが運行されている。 8:20発の乗客は十数人で、全員が登山客。苗場山への登山口である元橋バス停で数人、平標山登山口バス停で残り全員が降りてしまった。
電車バス時刻は当時

巨大な送電鉄塔

降りた登山客は二手に分かれた。少数派は林道・山小屋経由のコース取り、バス道を先へ進む。
私を含めた多数派は少し後戻りして駐車場裏から取りつく、松手山コースである。
ところが下山後この辺の山に詳しい登山者から聞いたところによると、林道・山小屋コースを登りに取る方が楽とのことだった。 急登区間が短いこと・途中数か所に水場があるので水を背負う必要が山小屋までないこと等の理由で往路疲れを溜めないで済む。 一方松手山コースは急だが最短なので、疲れた帰路に向くとのことだった。初めての者には分からない、大方は急なコースを先に済まそうと云う心理が働くのだった。
駐車場は広く100台以上のスペースがある。この日は30台くらい駐車していた。1回500円の有料。公共トイレがある。
駐車場の奥が登山口で標高は980m、そこから1000m登る第一歩。まずは山腹に聳える鉄塔を目指す。
柏崎刈羽原発と首都圏を結ぶ超高圧送電線群を支える巨大鉄塔、高さが120mある。しかしこの電気の大動脈、今は脈打っていない。
鉄塔は近くに見え隠れするのだが、歩くと遠い。近くに見えるのは巨大さ故の錯覚か。高低差440m、1時間余り苦しい登りの連続だった。

登山道を振り返り、独特な平べったい山は苗場山(左)

高圧送電線下では長く休憩する気にはなれない。ジジジと放電音がし電磁波を浴びる気がして。送電していないのは分かっていても。 呼吸が整い、水分を補給したら早々に松手山へ向かう。
傾斜が緩み少し楽になった。それまでの針葉樹から植栽が変わりカンバの林となる。しばらく登りようやく鉄塔の高さを超えた。
時折南西側の展望が開け、苗場スキー場の全景や三国山が見渡せた。ただし例の送電線が南北に横切り煩い存在である。(さんざん電気の恩恵を受けながら、文句云うな!)
松手山1614mは小さなピーク、森林限界を抜けるので展望が一気に開け、北側の山々も視界に入る。平標山の稜線全容を見渡すことができ、山頂を確認した。が、まだまだ遠い。
松手山山頂では二居方面からの登山道が合流するはずだが気付かなかった。
山頂は狭いが気持のいい場所で、数人の登山客と共にエネルギー・水分を補給し、小休止した。
松手山からはしばらく緩い傾斜の草原で、幸せな道が続く。花はチラホラ咲いているが、最盛期を過ぎていたようだ。振り返ると平な苗場山が大きい。

山頂から仙ノ倉山、プラス往復2時間は体力の限界越えでした、残念

幸せな道は長く続かない。山頂稜線へのザレ場の登りに取りつく。再び傾斜が増し最後の頑張りどころだ。木製階段が設置されている。 設置されてから日が経った様子はないのだが傷みが顕著、流された階段もある、豪雪の仕業なのだろう。
息を切らして登りついたピークは一ノ肩。
一般的な山では、山頂が近づくと急登の後に傾斜が緩む場所があり、其処を肩と呼ぶ。人体にたとえた呼び名で、その後首から頭=山頂へと続く。
稜線上は遮るものない吹きさらしの場所で、風が強い日は難儀しそうである。この日は穏やかな日和で、標高1900mを超えた涼風が心地よかった。
疲れた私は尾根上の平らな一画で登頂前の一休み。
山頂は平で広い。十数人がたむろしていた。既に仙ノ倉山を往復したハイカーもいた。仙ノ倉山へ足を延ばすかどうか悩んでいるグループもいた。

山頂から北(平標新道)方面、地平線の向こうに日本海が見えました

仙ノ倉山をあきらめた私は時間に多少の余裕が出き、山頂360度の大展望をじっくり鑑賞した。
真っ先に仙ノ倉山を眺める。たおやかな縦走路は登山者を招いているようで未練は残る、がやはり遠い、往復二時間は今の自分の限界を超える。
仙ノ倉山から先、谷川岳に至る切り立った稜線は熟達した登山者のみ立ち入りが許される領域である。
万太郎山は仙ノ倉山に半分隠されている。谷川岳本峰は完全に仙ノ倉山に隠されていた。仙ノ倉山山頂に立てば展望はさらに広がるのだろう。
谷川連峰は一ノ倉岳から北の山々が姿を見せる。上部はまだまだ雪がついていた。
その奥に巻機山に代表される越後山脈の山々。
北側は山が徐々に高さを落し、地平線の先に海が。此処は新潟県、日本海まで直線で70〜80kmほどの距離しかないのだった。
苗場スキー場の上部には大黒山〜上ノ倉山〜忠次郎山と連なる山々が2000mの稜線を形成している。深山の趣が強い。 地図で確認するまで私は知らなかった山々で、登山路は記されていない。上越国境には秘境の山がまだまだ多いようだ。
南には三国山など比較的低い山が連なっていた。

下山路から山頂を振り返る

私は単独登山の場合、まとめてエネルギー補給することをほとんどしない。したがってまとまった昼食時間を取らないのが普通で、小休止の度に少しづつ補給するスタイルである。 今回も山頂では甘いものを少し口にした程度、一通り観望と写真撮影が終了すると下山にかかる。山頂滞在時間は20分。どこの山でもそんなものです。 初めてのコースのうえバス時刻という制約があるので余裕を見て下るに越したことはない。
平標山の家まで標高差330mの下り、そのほとんどに歩きやすい木道が設置されていた。なるほどこちらを登りコースとした方が楽そうである。
見下ろすと山小屋が、振り返り見上げると山頂が見える、雄大な眺め。
平標山の家は居心地がよさそうな小規模な小屋。冷たい清水が無料で提供されていて本当にありがたい。水分不足の私はここで500ccペットポトル1杯分も飲んでしまった。いわゆるガブ飲み!
森林限界越えは此処まで、右に折れ暗い樹林帯を標高差450mほど急降下、その後の長い林道歩き。バス停には発車時刻の30分前に着きました。続いて到着した単独のご婦人、朝のバスが一緒の方でした。
「仙ノ倉はよかったですね。あれ、でも山頂でお会いしませんでしたね?」会わないはずです、あたしゃ行ってないのですから。
仙ノ倉山まで足を伸ばしたベテラン山ガールに追いつかれ、帰路も一緒のバスとなりました。

平標山の家が見えてます、其処から右に折れ山腹の急斜面を下ります

2015.07.07 記

no.26 立山連峰縦走へ , no.25 平標山 , no.24 木曽駒ヶ岳へ