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那須茶臼岳1915m&南月山(ミナミガッサン)1776m周回 2007/07/25


南月山直下から茶臼岳を望む、左奥に三本槍岳が覗く。左山腹から湧くガスは噴煙である。


コース&タイム;
上野6:52==9:13黒磯駅9:20=10:20山麓駅10:30=10:35ロ−プウェイ山上駅
山上駅10:40〜11:20茶臼岳11:30〜峰の茶屋12:00〜牛ケ首12:20〜12:50南月山13:10〜13:40牛ケ首13:50〜14:15山上駅
山上駅14:30=14:35山麓駅15:00=16:00黒磯駅16:35=19:09上野
所要時間;3時間40分、歩行時間;3時間

青春18きっぷの山旅です。夏休み最中のこと、茶臼岳は中高生の団体などで大賑わいでした。
下山の頃になると山はガスでスッポリ覆われてしまいました。
この日下界は30度前後まで気温上昇したようですが、山上駅では18度の別世界。夏山は文明の利器で高度を稼ぐに限りますな。



本年4月の時刻表改正で、東海道線上り“ムーンライトながら号”が全席全区間座席指定となり、作者が乗車する大船駅からの利用が著しく不便となってしまった。 たとえJRの注文に応じて指定席券を購入したとしても、高崎・宇都宮・常磐各線5時過ぎの上野始発電車に間に合わない。 以前は5時少し前に東京駅へ到着した“ながら号”から乗客が大挙して山手・京浜東北線ホームへと駆け足で移り、乗り継ぎ駅の上野へ向かったものだった。今回のJR時刻改正は、この大勢の利用客を切って捨てた。 私もこの影響で登山口到着が10時半と遅くなってしまい、その分山中の時間を削らざるをえなくなった。やむを得ず姥ケ平など寄り道したいヶ所を割愛し、往復ロープゥエー利用(最終便は16:00台で早い)の行程とした。
今回の時刻表改正は、急ぐ客は新幹線でどうぞ!というJRのいやがらせに違いない。

宇都宮線の快速電車はその名の通り快速に飛ばす。大宮を過ぎ、東北線を北上するに従い雲が厚くなってきた。本日の予報は関東一円は曇り、しかし仙台は晴れマークである。那須の山はどちらの地域に入るのだろうか?曇りでも視界が利けばいいのだが。
宇都宮で黒磯行ローカル電車に乗り換える。それまでの代り映えしない関東平野の建て込んだ景色と別れ、田畑が広がりローカル色豊かな風景に変わる。そのうえ厚く垂れこめた雲が徐々に高くなり薄日が差す。 電車で2時間も移動すると天気も変わってくるのだった。とうとう西遠方に高山が薄くシルエットを描き出した。釈迦ケ岳の稜線だろうか?ローカル電車に乗って山が近づいてくると、いやがうえでも気持ちが高揚してくるのである。

黒磯駅からロープウェー山麓駅までは、東野交通バスでちょうど1時間かかる。およそ1時間に1本の割で便がある。
ところで紅葉シーズンの週末など混雑時には山麓の駐車場に入りきれない車で周辺は溢れ、バスは途中で身動き出来なくなる。 こうなると、乗客はバスを降りて山麓駅までの歩きを強要される。どの位歩くかはその日の運次第とあいなる。私も前回仲間と訪れた際、大分手前から歩いた記憶があります。 最もバスの場合はバスを捨てる手段があるだけましで、自家用車利用の場合は車を途中で捨てるわけにもいかず、計画が台無しになること請け負います。
当日は平日で渋滞もなく定刻通りバスは運行された。山へ向かう一本道は、赤松林の園地を抜けて傾斜を増す。両側は様々な観光施設で賑やかである。湯元を過ぎると本格的上りとなり、バスは一段ギァーを落しスローペスとなった。 正面に大きく茶臼岳が立ちはだかり、今日は幸い山頂までハッキリと眺めることができる。

私は那須の山は今回が2度めで、前回は仲間と、峰の茶屋から北側の朝日岳に攀じ清水平を経由して中大倉尾根から北温泉へ下山した。そこで今回は反対の南側を歩く目論見である。
ロープウェーのゴンドラは座席を排除して定員を増やし、110名を乗せて高低差300mを僅か4分で駆け上がる。ロープの大支柱を越す際にゴンドラが大きく前後に揺れるのも愉快であった。
山上駅は標高1700mあり、涼しい。夏の登山は、標高を乗り物で稼ぐに限る。駅の展望台からは遠景は霞むものの、那須高原が眼下に見渡せ、観光客が歓声をあげている。この日は雲が多いが山側の視界は案外良く、炎天下を歩くよりもよほど快適だ。

駅の案内図に山頂まで高低差200m・50分とあり、また見上げる稜線が山頂だと見誤り、安易に山頂を目指す観光客が結構多い。登山道は直ぐに牛ノ首方向から右に分岐して、ザレ場を進む。傾斜は急なのだが、広い山腹を登るので自由にジグザグが切れて楽である。 右側に朝日岳から鬼面山への稜線が顔を出した。傾斜はさらに増して、道はザレ場から岩場へと険しくなる。
“こんなハズじゃなかった”“誰だよ、山頂まで直ぐだなんて云ったのは!”“エェー、あそこじゃないの山頂は、無理無理!”などと云う声があちらこちらで聞こえ、大半の観光客がこの辺りで引き返すようだ。
賢明な判断です、飲料なしで足ごしらえの悪いまま山頂まで行くのは相当つらいですよ。山頂まで結構厳しい道すッよ!
峰の茶屋からの道と合流し傾斜が緩むと山頂は近い。山頂周辺にはたくさんのハイカーがお店を広げて大休止していた。あとは下山だけの人が多いのだろう。こちらはここまでが準備運動のような行程なので、小休止にとどめる。
山頂からの展望は素晴らしい。澄んだ日には日光連山・飯豊連峰・筑波山などが見渡せるようだ。これから向かう南月山は随分遠くに大きく盛り上がっていた。そこへ至る稜線は大変魅力的かつ長大に映る。
北側に目を転じると、朝日岳の左奥に三本槍の穏やかな姿、そして一旦大峠へ高度を下げ、再び西へ高い山脈を形成している。私にとって最も引きつけられた山々である。のちの調べで流石山〜三倉山の稜線であることが分かった。いつかは踏み入りたい登高欲をそそられる山たちだった。

茶臼岳下山路から荒々しい朝日岳を眺める、左下方は強風の名所峰の茶屋


下山は山頂裏側から噴火口の周囲を半周して一般登山道と合流し、峰の茶屋へ向かう。噴火口外周は人が歩かないうえに、茶臼岳山頂を裏側から眺めるのが良い。当日偶然発見したルートだ。峰の茶屋は強風で有名な場所、およそ150mほど足場の悪い急降下である。 牛ケ首へ行くには、峰の茶屋から茶臼岳の裏側山腹を巻いた方が往路を戻るより幾分近いようだ。峰の茶屋少し手前で左折する。この道は概ね水平である。途中、無限地獄と呼ばれる場所を怖々通過する。道の直ぐ上で蒸気がゴーッと唸りをあげて大噴出している。 岩肌に素早く手を触れたところ、暗に相違してさほど熱くはなかった。
牛ケ首は通称ウシクビと呼ばれているらしい。多くの登山者がそう呼んでいた。そこは交通の要点で、五差路である。
峰の茶屋・ロープウェー山上駅・長い下りの湯元へ・姥ケ平から三斗小屋温泉・そして目指す南月山縦走路、各方面への分岐点となっている。周囲は広く、休憩ベンチも多く設置され賑やかである。 山頂を目指さないで、こちらへ足を延ばす観光客もいるようだ。高低差が少ないので、山頂を目指すより大分楽そうである。茶臼岳溶岩ドームの直下にあり、迫力ある展望が開けている。私は大休止を南月山で予定していたので、先を急ぐことにした。

牛ケ首〜南月山間は往復コースとなる。それまでの火山性の荒れた土地が一変し植生が豊富となるのが嬉しい。潅木帯に数種類の花が数多く咲いている。残念ながら私には花について述べる教養が不足している。
沼原湿原への分岐点である日の出平へは少し登り、その後はなだらかで快適な登山道だ。無数のトンボが舞っている。潅木帯を抜け、少し上がった地点で振り返ると、茶臼岳が見事に視野に収まった。
南月山はナンゲツザンでなくミナミガッサンと読む。当日まで私自身ナンゲツザンで疑いもしなかった。地名・固有名詞の読みは難しい。
山頂は静かで、一組の熟年夫婦がいただけである。車利用で沼原湿原側から来たとのことである。 乞われて記念写真を撮る。ところがバックの茶臼岳は雲に姿を隠してしまった。ほんの一瞬のことで、夫婦者は残念がり、思わずこちらが謝ってしまった。益々雲が湧き上がり少し滴が落ちてきた。展望の良い山頂だが最早景色は望めない状況となっていた。私は軽食を済ませて早々に下山することにした。
山の天気は驚くほどのスピードで変化する。下りはガスの中となった。私はそれでも充分だった。あれほど賑やかだった牛ケ首にはもう誰もいない。雨はしばらく持ちそうだ、あわてて麓へ降りてもバスの時間まで暑さの中待つだけさ、ここまで戻ればもう大丈夫。
私は一人ベンチに寝転び山をわたる涼風にしばし吹かれていた。       2007/08/03 掲載