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湯の沢峠 2011.09.08〜09


富士山と三ツ峠が重なり合う(大蔵高丸山頂にて)


湯の沢峠は大菩薩から笹子へかけて2000m峰を含む長大な小金沢連嶺と南大菩薩連嶺との鞍部で、峠の周囲は草原が広がり、夏から秋にかけてお花畑としてハイカーには知られた場所です。
今回は焼山沢林道を峠直下まで車で乗り入れ、湯の沢峠から富士山や南アルプスの眺望が素晴らしい大蔵高丸(オオクラタカマル1781m)、さらに花と展望の稜線をハマイバ丸1752mまで足を延ばして、湯の沢峠の避難小屋に泊まりました。
お花畑の花つきは良くなかったものの初日は秋晴れ本番の好天気、南アルプス全山が横一列に、そして富士山の大展望に恵まれました。
二日目の山頂はガスで、残念ながら山の夜明けを味わうことはできませんでした。
ハイカー数組と出会いましたが泊まったのは私だけでした。

コース一日目;湯の沢峠〜高原のお花畑〜大蔵高丸〜ハマイバ丸〜往路を戻り湯の沢峠避難小屋(泊)
所要時間;4時間、歩行時間;2時間半程度
二日目;避難小屋〜大蔵高丸往復  所要時間1時間

なお現在焼山沢林道の未舗装区間、詰の2kmは雨水流で方々抉られていて相当悪い。



中央自動車道を大月インターで降り、国道20号線の笹子トンネルを抜けて右に甲斐大和道の駅を見、川を渡った景徳院入口信号を右折して山梨県道218号大菩薩初鹿野線へ入る。
日川に沿って上る道で、武田家ゆかりの古刹旧跡や景勝地が点在し、上流には信玄の隠し湯として伝統と格式を守る老舗旅館【嵯峨塩鉱泉館】がある。秋深まる頃に改めて訪れたい所である。
甲州市の日帰り入浴施設【天目山温泉】の先で県道から右に折れ焼山沢林道へ入る。舗装された道だが途端に道幅が狭くなり、すれ違いに支障をきたす区間も多い。 連続したカーブを切りながら標高をグングン上げる。強風に折られ飛ばされた枝葉が路上に散乱している。私は初めての道で慎重に進んだ。
大菩薩方面への分岐点から先2kmは未舗装である。以前はタクシーが通うほど整地されていたようだが、現在は雨水流で路面が抉れて悪い。 車輪がはまらぬよう歩く速度でルートを見定めながら行く。車は車長が短い軽自動車なので路面の凹凸には案外強いのだった。景徳院入口から50分ほどで林道終点に着いた。
其処には十数台分の駐車スペースがあり、その手前にも2〜4台ほどの駐車スペースが数ヶ所あった。到着したのが11時と遅かったので私が最後の訪問者のようだ。駐車地には6台が駐車していて半数はジープ形式だがセダンも1台止まっていた。 途中にも2台ほど終点まで行きつくのを諦めたセダンが駐車していた。

駐車地にはバイオ浄化式の公衆トイレが設置されていて、きれいに使用されていた。定期的に清掃されているのかも知れない。
ところで峠名の語源である湯ノ沢は、峠を越した大月側の沢で、真木川〜笹子川〜桂川〜相模川と成長して相模湾に注ぐ。一方上ってきた林道沿いの焼山沢は初鹿野側を流れ、日川〜笛吹川〜富士川となって駿河湾に注ぐ。 湯の沢峠から南北に派生する長大な連嶺は、相模湾と駿河湾の分水嶺となっていて、また気候的にも関東山沿いのものと甲府盆地との境を形成しているのだった。
湯の沢峠へは駐車地の奥から山道を進み僅かで着く。駐車地から右に脇道を数十歩下ると今夜お世話になる避難小屋が佇んでいた。八年前に小金沢南大菩薩縦走途中に宿泊した当時のままの懐かしい小屋である。
中を覗くと男性が一人寝そべっていた。前後して小屋を覗いた男性数人グループの一人が
「こんな粗末な小屋に泊まる人がいるんですかねぇ?」と聞いてきた。私が今晩泊まることを見透かされたように思えたものだった。
宿泊荷物は車に乗せたまま、サブザックに弁当・水・果物のナシ・そして保冷剤にくるんだカンビールを入れて出発した。
11時を大分廻っていたが現地泊りの私は遅い出発で充分なのだった。

南アルプス白峰三山を望む

湯の沢峠を直進すると大月側の真木林道へ下る。左は小金沢連嶺の縦走路で白谷ヶ丸(シロヤンガマル)へ急登する。今回は計画に入れていないが、白谷ヶ丸周辺は以前に縦走した際の印象が今でも残る雄大で好ましい場所である。
大蔵高丸へは右に進路を取る。灌木のトンネルを登ると開けた草原に出た。この草原がお花畑である。私は山の花々にそれほど興味を持つ者ではないが、それでも一面に咲く花々を期待したのだが。
お花畑はススキの原だった。期待していたマツムシソウは探すに苦労した。こんなものなのだろうか?私は最盛期の花畑の様子を知らないので何とも云えないが、霧ヶ峰や八方尾根の花の多さとは比較にならない。
それでも目を凝らせば十種類ほどの花がいくらでも咲いていた。
此処は標高1600mを超える高原である。日差しは強いが涼風が心地よい。目の前に大蔵高丸が盛り上がる。
以前の記憶では山頂まで100mほどの高低差を直線的に一気に登ってしまったが、今は樹林帯を左から右に山腹を巻いて行く。登り始めて30分足らずで山頂に着いた。駐車地からだと道草を喰いながらも1時間余りである。
山頂は小広く遮るものない大展望。北には小金沢連嶺の南端を占める雄峰黒岳。北西には金峰山五丈岩がはっきりそれと分かる。その奥に八ヶ岳。西に甲斐駒から始まる南アルプスは横一列に全山並ぶ。 南に富士山。欲を云えば、南アルプス・富士山は雪を被った姿を見たかった。
南大菩薩縦走路の先には滝子山・本社ヶ丸・三ツ峠・富士山が縦一列に重なる。東に目を転じ、逆光で山影は薄くなるが、御正体山を主峰とする道志や裏丹沢の山々。北東には奥多摩の山が霞む。雁ヶ腹摺り山は目の前すぎて気付かないでいた。
秋晴れ到来の空、期待外れだったお花畑だが、山の展望が充分取り返してくれた。吹き抜ける涼風に押されて、グルリぐるりと私は何回も山頂を廻った。

湯の沢峠2へ続く